②自動火災報知機が熱感知器である物件
自動火災報知設備は感知器によって火災を早期検知し、住人や建物管理者に知らせて避難を促す設備です。
火災の検出には、感知器と呼ばれる検出装置が用いられます。熱によって警報を発する「熱感知器」、煙によって警報を発する「煙感知器」、炎が発する赤外線や紫外線を検出する「炎感知器」の3種類が代表的であり、これらを天井などに設けて、火災を検出します。
一般的な物件では熱感知器と煙感知器が採用されます。
炎感知器は天井が高い物件に採用されるため、ここでは説明を省略させていただいます。
熱感知器は、感知器周辺の熱を検出して警報を発信する感知器です。煙感知器や炎感知器よりも安価で、広く普及しています。熱を検出するという性質から、熱感知器が作動したときにはすでにその場所は出火状態となっており、火災の早期検知の観点からすれば、火災検出能力は煙感知器に及びません。
煙感知器は、火災時に発生する煙を検出する感知器です。煙は火災が本格化する前に発生し広がるため、煙感知器で警戒することにより、火災の早期発見に効果を発揮します。しかし、煙感知器は検出能力の高さや機構の複雑さから熱感知器よりも価格が高く、多数設置することによりイニシャルコストの増加に繋がります。
このように煙感知器は設置費用が高くなるため、物件によっては熱感知器を採用しているところも多くあります。
ではなぜ、熱感知器の物件がお奨めではないかを説明いたします。
感知器は部屋ごとに設置する必要があります。法律事務所のように天井を閉じた部屋を作る際にはどちらの感知器だったとしても、部屋に感知器が無い際は増設する必要があります。
しかし、ランマが開いている部屋の場合は感知器によって設置義務が緩和されます。
それが煙感知器です。
煙感知器はランマが開いている場合は部屋どおしが同一区画とみなされるため、一ヵ所に煙感知器が設置されている場合、増設の必要がありません。
この点において煙感知器が設置されている物件をお奨めしているのです。
しかし、スプリンクラーに比べると増設の費用は比較的に安価なため、スプリンクラーに比べると優先順位は劣るかと思います。